久々に、ラノベの新規開拓を行おうと思って購入したこの作品。
とりあえず出たばかりの作品であればなんでもいいや、ということで、ネットで発売日順にソートして見つけました。
最近はやりの長いタイトルですね。いやはや長い長い。

公式に結構手の込んだページがありました。壁紙もダウンロードできるようです。
読んでみた感想ですが、まとめると、
おおまかなあらすじ
モンスターが大量に生息する世界。
その世界には、天使族と冒涜者という、二つの種族がいた。
両者はいがみ合い、敵対していたが、休戦協定を結び、その証として合同部隊を結成することになる。
そのメンバーに選ばれた主人公(冒涜者)は、片翼の天使であるヒロインと出会い、任務である、冒涜者と天使族のカップルの討伐へと向かう――。
感想1:序盤の展開が遅すぎる
開始早々に主人公とヒロインが出会うのですが、そこからの展開がだらだら。
主人公たちの境遇の話や世界観の説明に注力している感じで、話の起伏が全くありません。
せっかくの面白い世界観が台無しな気がしました。
冒涜者と天使族の諍い、モンスターとの死闘などを話の主軸にしつつ、世界観を徐々に読者に伝えてくれるような話の持って行き方であれば、更に物語に引き込まれたと思うので、非常に残念。
感想2:世界観など設定は面白いが、ストーリーは正直面白くない
この作品のキャッチコピーは「超王道ボーイミーツガールファンタジー」と公式にありましたが、まあ、そんな感じでした。
冒涜者である主人公が、天使族のヒロインと出会い、恋に落ちて、モンスターのいない、両種族の争いもない世界を目指す、というのが大まかな流れですが……。
展開に面白さはありませんでした。
世界観上、「恋をする」ということが同種族でも禁じられていたりするのですが、恋という感情がどんなものなのか知らなかった主人公が気づけば勝手にヒロインに恋をしていたり、その逆もまた然りだったり。
話を先に先に進めることだけを考えていて、どうして主人公がそう感じたのか、どういう経緯で主人公の心が動いたのか、という描写が非常に薄く曖昧で、いや、描写あるのですが、それは主人公が思ったことだったりヒロインが感じたことだったり。
何か出来事があって、その結果感情が動いたなどの、物語に連結した感情の揺れ動き、というものがないので、ご都合主義だなぁ、というのが正直な感想です。
まあ、ボーイミーツガールは「月並みな話」とか、「ご都合主義」とも呼ばれたりするので、そのあたりのメタファーだったとしたらすごい表現力ですが。
感想3:この世界観を生かして、別の話を書いてほしい
1巻を読み終わりましたが、正直、このあとの主人公たちの話にはあまり興味がもてませんでした。
ですが、世界観については非常に面白く、光るものがあったことも確かです。
なので、この世界観を生かして、もっと暗い話を書いてほしかったなぁ、と思いました。
天使族は生まれ持った素質でその優劣がはっきりと決まってしまい、素質無しに生まれた天使は奴隷にされるか、娼婦になるか、暗部で働くかの三つくらいしかないという設定があり、作中に、生まれつき魔法を使う素質に乏しく、世界の理不尽さを呪いながら暗部で生きているキャラクターがいたのですが、どうせなら、このキャラクターを主人公にしたような、もっと黒々とした話が良かったです。
無尽蔵のモンスターが世界を蹂躙しており、数少ない食料を奪い合うように生きている天使族と冒涜者。かつては冒涜者は天使を奴隷にしたこともあるし、天使は冒涜者を非常食としていたこともあるなど、舞台背景は暗いものです。作者さんとしては、そんな暗い世界観の中でも、希望を持って生きていく主人公たちの話を描きたかったのだと思いますが、上滑りしていた感が否めません。
その中で、泥水を啜りながら意地汚く生きていく者たちの薄汚れた話のほうが面白いのでは? と思いました(完全に個人的な趣味ですが笑)
感想まとめ
世界観や、設定のディテールなどがとても良かったが故に、非常に残念な作品でした。
次巻も同一のキャラクターたちで展開していくのであれば、食指が動きませんが、ダークファンタジーよりのストーリー展開にシフトしていくようであれば、逆に非常に興味が沸くという、そんな作品でした。
機会があれば是非。